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入浴中溺死

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入浴中溺死

入浴は古くから親しまれてきた生活習慣であり、我々日本人はほとんど毎日のように入浴します。ところが時折、入浴中に急死することがあり、先日私の知り合いで93歳の方がそれで急死しました。

日本全国でみると、入浴中急死者は年間になんと約1万9000人と推測されており、そのうちの1万6000人が65歳以上の高齢者とのことです。

この急死者の方が傷害保険に加入していた場合、死亡保険金は支払われるのでしょうか? 

近年、入浴中急死に関する研究が進み、死亡保険金請求が認められるケースが現れていますが、それも場合によりけりです。 重要な要素は、この急死者が糖尿病、高血圧など疾病を有していたかどうか? その疾病の程度はどれ位であったか?などということに係っているようです。 近年の事例をご紹介します。

高血圧・糖尿病

(◎控訴審◯大阪高裁h27.5.1 ◯原審堺支部26.6.10)

死亡保険金請求  認容

被保険者:78歳

既存疾病:高血圧症、糖尿病

保険事故:平成23年

(保険者主張の不払い理由)

被保険者Aは、高血圧症、糖尿病、喫煙歴によって血圧を調整する血管内皮細胞が超えて著しく障害されている。これらの疾患を原因として、冬季の夜に高温の湯に浸かったため血圧が急激に変動し、出浴等の体動時に心臓への還流血流量が低下して、虚血性心疾患を発症した。

(病免責条項の適用を斥けた判決理由)

□疾患(高血圧・糖尿病)が直ちに虚血性心疾患の発症に結びつく程度のものであったとまでは認めがたい。

血圧、血糖値、ヘモグロビン等の測定値の実績を認定・評価して、h22年9月まで比較的良くコントロールされていた。死亡当時の血圧、糖尿病の病状は重度とまではいえない。「血管内皮細胞が加齢に伴って程度を超えて著しく障害されている」ということはできない。

□統計によっても、溺水が虚血性心疾患を原因とするものであったことを推認できない。この統計は、溺死と認定された例を分析したものではない。

また虚血性心疾患と入浴中急死との関連を分析したものでもない。

□入浴中急死の機序は未だ解明されていない。専門家の意見は分かれている。

溺水原因に関する他の機序として:

1.熱中症:高温により高次脳機能が低下して出浴行動が制限され、体温が上昇し続けて血圧が下がり、一時的に脳が虚血して意識障害

2.神経調節性失神:起立により心臓への還流血液量が減少して血圧が低下する。その低下を代償する過程で血管拡張や徐脈が誘発されて失神する。

健常者にも起きる。

冠動脈狭窄

(◎控訴審東京高裁h24-7-12 原審●東京地裁h23-9-13)

死亡補償金請求者敗訴

被共済者は75歳

死亡事故は平成19年であるところ、被共済者にはつぎのような既存疾病があった。

□H13年から脳虚血、狭心症の治療

□h14年以降、抗不整脈、虚血性心疾患治療薬(冠動脈拡張薬)投与

□心臓:冠状動脈は30%狭窄している。

心筋に小線維化が散在 内膜は軽度から中程度肥厚

□心肥大

 胸部X線検査:胸郭に対する陰影の幅が53%ある。50%を超えると異常とされている。

体重の200分の1が正常値であるところ、Eの心臓は272g が正常であるのに、解剖すると335g もあった。

□前日に交通追突事故に遭い、翌日本件保険事故で死亡

末期肺がん

(◎h27.12.14東京地裁)

保険金請求者敗訴

死亡事故   平成25年

既存疾病:肺がん、全身癌、余命最長3カ月程度

(医師の各意見)

□E医師:非常に衰弱した状態 食事もまともに摂れない状態

     余命最長3カ月程度、何時急変してもおかしくない状態

□K医師:衰弱によって風呂桶内にずるずると落ちて、(あるいは立ちくらみを)起こして力が十分に入らずそのまま溺れることは十分考えられる。

□U医師:全身癌にむしばまれている状態。入浴中、その時が来てもあらがう力が残っていなかった。

□G医師:癌の進行は相当なもので、いつお亡くなりになっても不思議ではないと思われます。末期がんでお亡くなりになる方は色々な経過を辿ります。入浴中の30分程度の間に死亡されることも考えられますし、また、入浴中に意識消失を先行したり、呼吸状態が悪化したりして、溺没し、死亡したことも考えられます。30分で急死ということも考えられますし、いきなり亡くならなくても、それに近い状況に陥り、そこがたまたま風呂であったため、死亡につながったということも考えられます。

□H医師:補正カルシウム値は12.7mg/dl  補正カルシウム値12を超えると脱力、譫妄、意識障害等の症状を起こしうるとされる。また、担癌患者は感染症を起こしやすいこともしられている。被保険者は末期がんでいつ何があってもおかしくない状態と思われる。健常人であれば仮に水を吸い込むような状態となっても防御動作を取ることは容易であり、溺水に先行して意識障害があったか、あるいは衰弱によって浴槽内にずるずると落ちて力が十分に入らず、溺死したものと考えられる。

(判決の認定)

肺がんにより衰弱していたためか、又は肺がんにより意識障害を起こしたため 

(問題点)

1.溺水の前には意識障害を起こしているのであるところ、衰弱していたら、どうして意識障害を起こすのであろうか? 溺水に先行する意識障害は要らないというのか? 判決は「衰弱していなかった蓋然性」を検討しているが、答えにならないと思う。

2.肺がんがどのように影響して意識障害を起こすのか?

判決は何も答えていない。

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