民法総則を中心とした民事個人法務お気軽にご相談ください。

【 回 顧 】

  • HOME »
  • 【 回 顧 】

50年に及ぶ事案の弁護活動のいろいろな思い返し、多くの苦い思い出の記録

⚫️2022-11-22

ついこの間、パワハラ事案の判決を受けました。地方公務員(保健所に勤務していた獣医師さん)がパワハラを受けて自殺した案件です。時間外勤務はなく、純粋のパワハラ事案です。

1 行政不服審査から本訴訟まで約8年間、事案を担当して力の限り追行しましたが、 残念ながら、公務起因性なしの判断。

判決によれば、指導・叱責は社会通念に照らして許容される範囲であり、その時の事情に照らすと、必要以上に厳しい指導ではなかった。という理由。以前からキーワード「パワハラ、公務員、自殺」と指定して判例検索していましたが、勝訴事案はほとんどありません。最近になって一つだけ搭載されましたが、全くの少数事例。
会社員の場合の業務災害事案では業務災害が認定される事例は相当数みうけられるのですが、公務員のパワハラは見当たらない。
その理由を私なりに推測してみると、国家・公共団体は全国に影響する組織だから、パワハラを簡単に公務災害と認めると、公務組織の維持に不都合だからであろう。

2 パワハラ被害の防ぎ方

パワハラは、組織だけに止まらず、個人間においても、力関係の不均衡な所には何処でも起きる現象です。パワハラを受けている本人の気持ちは、鬱陶しくて、追い詰められて、暗いうつ状態になるから全く不幸です。被害者側は自分で防ぐ技術が必要となる。

対策1 言われる通り従う

パワハラは力関係の不均衡な所に生じるから、力が下の者は負けるに決まっている。だからパワハラを受けたら先ずは上に従って言われる通りにする。出来る範囲において、先ずは上に従う。無理を言う上役もそのうち転勤するし、ときには辞めるし、死ぬこともある。従う者にはパワハラを止めることもある。これは多くの事例を見ても実情として通常の現象であり、有名な歴史事実を見てもそのような現象になっている。

対策2 日記を書く。

うつ状態を感じた時点(気持ちが沈んで夜より暗い気持ち、悲しい、涙が出る、希望が無い、悲観、不眠)等の時点で日記を書く。文章が苦手で、不得手であってもいいから、感じたことをそのまま紙切れ、ノートに書いておく。文章になっていなくても構いません。書くということは大事な動作であり、書いているうちにいろいろ考えが出てきて、対策を思いつくことがある。対策の思い付きが救いとなることも多い。日記は後日の重要証拠となることは言うまでもありません。
パワハラ自殺事案で重要な問題点は、事案の性質上、証拠が出にくいことです。 調査当局は、多くのスタッフ関係者からヒアリングを実施したと誇るが、組織の中でパワハラ、いじめがあっても、同じ組織で働き続ける者は喋ればあとあとの差し障り、上役との関係、面倒難儀をおそれて本当を言わない。差し障りが無いように言う。組織から去っていく者、聴き取りを拒否する者から優先して事情聴取すべきであるのに、そのようなことは行われない。

対策3 親、家族、友人など周辺の親しい人に打ち明ける。

往々にして、打ち明けると弱音を吐いたもの、弱音をはいて情けないと考えがあるが、それは間違いであります。 弱音を吐けば、早い段階で危険を捉える。大事に至らなくて済む。その次は気を取り直して元気になることもある。
周辺の親しい人も一緒になって考えてあげることが大事です。軽く聞き取って本人任せにしてはいけません。

対策4 精神内科に通院して、薬を処方してもらう。

精神内科に行くと気違いと思われるなどと誤解している人達が往々にして見受けられが、それは間違いです。精神が不安定な時に医療を処方してもらうことは非常に大切です。現代の社会生活は精神不安定を来す契機が沢山ある。
行きたくない時は診断書を取って、職場を休む。
職場を休むと出世コースから遅れるかもしれないが、自殺するよりはマシでしょう。
自殺しても誰も敵を取ってはくれません。

お気軽にご相談ください。 TEL 06-6313-8866 平日   午前10時~午後5時

PAGETOP
Copyright © 民法総則を中心とした民事個人法務 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.