民法総則を中心とした民事個人法務お気軽にご相談ください。

自動車運転事故と疾病について

  • HOME »
  • 自動車運転事故と疾病について

自動車運転と疾病

自動車運転中に誤って電柱に衝突したり、道路脇に転落したり、ため池に落ちるなどして、死亡、後遺障害を受ける事案はしばしば起きます。

これら自動車事故において、運転手が高血圧症など疾病の持ち主であったり、お酒を飲んでいたり、或いは自殺ではないかと疑われることがある。

この場合、自動車の運行に起因する事故として、運転手の死亡、後遺障害などにについて傷害保険金を支払ってもらえるか?

人身傷害条項は「急激、偶然、外来の事故のうち自動車運行に起因する事故による死亡、後遺障害などの損害を補償する」契約です。しかし免責条項が規定されています。

免責条項1:疾病免責条項「被保険者の脳疾患、疾病又は心神喪失によって生じた傷害に対しては保険金を支払わない」

免責条項2:酒気帯び免責「被保険者が酒気を帯びて車を運転している場合に生じた損害に対しては保険金を支払わない」

免責条項3:故意・重過失免責「被保険者の故意または重過失によって生じた損害に対しては保険金を支払わない」

免責条項4:薬物免責「被保険者が生じた損害に対しては保険金を支払わない」

(免責条項1:疾病免責条項について)

☞保険金が支払わられるか支払わられないかは、保険会社は単に被保険者に疾病の既往歴や素因があるというだけでは足りず。

特定の疾病による特定の症状のために本件事故が生じたことの立証が必要です。

「事例の想定」もしも次のような事例があるとすればどのような結果となるか?

■高血圧症の持ち主が、自動車運転中、電柱に衝突して、傷害を受けて、下半身麻痺の後遺障害が残った。

争点:高血圧症の発作が影響して運転操作を誤ったかどうか?

参考にすべき判例もあるけれども、疾病免責条項を正面から判断した例は見当たらないです。

高血圧症といってもその程度はいろいろの場合があって、その高血圧症が当該事故を引き起こしたかどうかについて保険会社は簡単には立証できない。

電柱に衝突してといっても、衝突の態様はいろいろあって、普通の過失で衝突することも有り得る。

保険会社側に「訴訟して負ければ訴訟費用は請求者負担ですよ」と言われて契約者は危惧の念をいだくかもしれないけれども、訴訟費用自体は訴状に貼る印紙代であってどのような訴訟でも必要なものでその金額もさしたるものではありません。

その疾病のために自動車運転事故がおきたことについて保険会社は簡単には立証できないとおもわれます。

◯最高裁 平成19年10月19日、裁判集民226号155頁

■狭心症の持ち主が、自動車運転中、池に落ちて溺死した。

この件は外来性の問題として取り扱われた事案であり、疾病免責条項が無い事案でしたが、もしも疾病免責条項があればどのような点が問題になるであろうか?

先ず、狭心症の治療経過を調査する。

次に事故当時に狭心症の程度が問題になる。

その狭心症がどのような症状を起こしたのか?

運転操作を誤らせる症状であったか?

池に落ちた事故態様が通常人でも過失により転落する可能性があったか?

◇判タ949-202 静岡地裁h9-3-10

この判例は前掲最高裁判例の以前の事案であり、外来性の問題として取り扱われているが、現在では疾病免責条項の問題または因果関係の問題になる。
事故態様は、被保険者Aは国道一号線を東進中、交差点で西進から右折するため右折専用車線で停止していた相手車に正面衝突した。

判決は、心筋梗塞による死亡もしくは心筋梗塞による意識喪失状態に陥ったことを認定して、外来の事故であるとすることが出来ないと判断しているが、

心筋梗塞による死亡であるのか?それとも心筋梗塞による意識喪失状態であるのか?を区別していない。いずれであるかにより結論は異なる。

○心筋梗塞による死亡であれば病死であって、自動車事故による死亡ではないから、外来性は無く、支払い義務はない。免責となる。しかし心筋梗塞による死亡の立証は難しいと思われる。

○心筋梗塞による意識喪失状態であれば、自動車事故による死亡であるが、約款規程に疾病免責条項が規定されているかどうかが問題になる。

判決は約款の検討まで事実摘示していない。19年最高裁判決の以前であるからであろう。

○以下においては因果関係の問題として検討する。

(心筋梗塞の事情を相当因果関係の判断に組み入れるのか?)

○通常人を想定するのであれば、考慮しないことになる。そうすると交差点の右折車線で停止中の相手車に衝突することは通常有り得る。

○心臓疾患を持っていることは通常有り得るとして考慮する立場はあり得るであろう。この場合、心臓疾患の程度が問題となる。

(被保険者の心臓疾患の病歴)

h2年7月 狭心症

     冠動脈狭窄

H3年1月、4月 経皮的冠動脈形成術  2度失敗

同年 7月         冠動脈バイパス術

H4年      以前の発作とは違う胸痛  ニトログリセリン

                      動脈硬化の体質

◯このように病状が重いと、事故との因果関係は否定される流れとなりそうである。

◇札幌地裁h23-9-28 判タ1372-204

■事故態様  対向車線はみ出し  正面衝突

この事故態様は日常よく起こりうる。

疾病免責条項あり。

既往の疾病    糖尿病

単に被保険者に疾病の既往歴や素因があるというだけでは足りず、特定の疾病による特定の症状のために本件事故が生じたことの立証が必要である。即ち、

糖尿病からどのような症状が起きて本件事故になったのか? 保険者の立証が必要。

退院前の血糖値は良好な数値である。

亡太郎Aは、h20年12月22日退院後、25日事故まで酒をのんでいない。

食生活、規則正しい生活、インスリンをきちんと注射していた。

事故当日、朝食としてご飯を茶碗1杯、バナナ、ヨーグルトを食べている。

Aは糖尿病患者であり、空腹時(低血糖時)にインスリン注射をすれば低血糖に伴う発作を起こす可能性はあるが、Aが本件事故当日の朝食を取らずに、インスリン注射をしたことを示す的確な証拠はない。

本件事故直前、Aは気を失っていた可能性は否定できないものの、これが糖尿病に伴う発作であったとは認められない。

お気軽にご相談ください。 TEL 06-6313-8866 平日   午前10時~午後5時

PAGETOP
Copyright © 民法総則を中心とした民事個人法務 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.