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誤嚥事故について

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誤嚥事故について

①疾病免責条項あり

パーキンソン病の持ち主が、昼食のもちをのどに詰まらせて窒息し、低酸素脳症による意識障害が残り、常に介護を要する状態になった事案。

平成19年7月6日 最高裁平19(受)95号 補償費支払請求事件

民集61-5-1955

保険者は中小企業災害補償共済
支払事由:急激、偶然、外来の事故により身体に被った傷害
免責事由:脳疾患、疾病、心神喪失

(判決理由)

請求者は、外部からの作用による事故(身体の外にあったもちをのどに詰まらせたこと)と傷害との間に相当因果関係があることを主張、立証すれば足りる。

傷害が疾病(パーキンソン病による嚥下機能障害)を原因として生じたものではないことまで主張立証すべき責任を負うものではない。

◎飲酒を伴う食事をした後、うつ病の治療のため複数の薬物を服用した。うたた寝をして目を覚ました後に嘔吐し、吐物を誤嚥して、気道閉塞により窒息死した事案。

最高裁 平成25年4月16日  裁判集民243-315

争点:誤嚥して気管に入った物はもともと胃の内容物であった。

窒息の原因は、薬物の影響で気道反射が低下していたため、誤嚥物を自力で気管から排出できなかったことである。

判決理由:誤嚥して気管に入った物はもともと胃の内容物であったとしても、身体の外部からの作用であり、外来の事故である。

破棄差戻し
本件約款には、疾病免責条項があり 「疾病、脳疾患、心神喪失によって生じた傷害については、保険金を支払わない。」と定められている。したがって、うつ病の治療のため服用していた薬物が、飲酒によるアルコールと相互作用して中枢神経抑制作用を示し、気道反射が著しく低下することは、「疾病」に該当するかどうかが争われることになろう。

普通の通常人であっても精神薬を服用している者がクラス会の旅行で飲酒して身体の不調をきたすことは見受けられる。薬物と飲酒との相互作用は「疾病」には該当しないのではないか。

誤嚥性肺炎

高齢者や中枢神経系障害で寝たきりの患者が、嚥下機能障害のため、食物などと一緒に最近を気道内に吸引して発症する肺炎です。

□ある保険会社の約款には、誤嚥性肺炎による死亡に対して傷害死亡保険金を支払わないことを明記しています。

□ある保険会社の約款には、「老衰」を傷害から除外して、傷害死亡保険金を支払わないことを明記しています。

※しかし誤嚥性肺炎による死亡として傷害死亡保険金支払いを拒否された場合でも、簡単には諦めずに死因などを具に調べてみる必要があります。

□本当に誤嚥性肺炎による死亡か? 食物誤飲して低酸素脳症による死亡などの可能性は無いか?

□肺炎所見は見られたか? どのような検査をしていたか? 

□嚥下機能障害の存在は確認できたか?

□単に「老衰」とするだけでは、保険金を支払わない理由にはならないと思われます。

②に疾病免責条項なし

慢性腎不全と嘔吐・誤嚥(不慮の事故として規定されている例)

◯長野地裁h27-2-18 h24(ワ)308 

慢性腎不全の現象がある者68歳Aが血液透析を受けて帰宅し、サンドイッチ等を食した後に入浴し、食した物を嘔吐してこれを誤飲し、低酸素脳症により死亡した事案。

つぎのように約款に不慮の事故型式で規定されている。

生命保険会社型の傷害保険約款と同様の規定であり、モチの誤嚥、嘔吐物の誤嚥事故とは規定の仕方が異なる。

(共済金の支払い) 第4条

「災害を受けた日から200日以内にその災害を直接の原因として死亡したこと」

定義第2条 「災害」とは、外来の急激で偶発的な別表2の事故」

別表2 対象となる事故

a 事故の分類欄13 その他の不慮の事故

(共済金を支払わない場合)第5条

故意または重大な過失

疾病免責条項の規定はない。

(Aの病歴)

s60年  Ⅱ型糖尿病

h10   インシェリン治療

h17   抑うつ症状で入院

h19   上行結腸癌  入院

h20年3月  ネフローゼ症候群(尿中に多量の血清タンバク成分を喪失する)

〃  11月  慢性腎不全と診断されて、入院

h21年    肝硬変及び心不全

h22年    起立性低血圧のため入院

嘔吐・誤嚥に関して、どの病気がどのように作用したか?について、

Yの主張:Aがその疾病(注:慢性腎不全)を原因として呼吸障害及び嚥下障害を起こし、吐物によって窒息死した。

(判決)

上記の疾病がAの嘔吐誤嚥にもたらした因果関係の存在を認めるに足りない。

したがって、Aは外来の事故による災害によって死亡した。

評釈:外来性と疾病との関係をどのように考えるのか?

  • 疾病非起因性は外来性の要件でないとすれば、疾病が有っても外来性の要件は充足される。本件では疾病免責要件が規定されていないから、それで勝負は決まりとなる。それでは共済者に酷であろう。それゆえ判決は、疾病との因果関係を問題としている。
  • 疾病非起因性は外来性の要件であるとすれば、疾病に因らないことを請求者が立証しなければならない。これも請求者にとって酷である。それに最高裁判決(モチの誤嚥事件)も存在する。

※だから理論的にはっきりと割り切れないものがある。

理論的には一貫しなくても、やはり病状の程度の事実認定によって決めるのが公平であろう。

(病気の程度について注釈)

□血圧はどれ位低下していたのか? 測定しているのか?

□腎臓透析と血圧低下に関して医学的データ、知見はあるのか?

□入浴はどのような内容であるのか? 湯の温度、入浴時間

□人工透析から3時間半経過している。

(免責事由の有無:重過失の有無について)

正午まで病院で透析を受け終わり、午後2時帰宅、午後3時半浴室の赴き、本件事故

□帰宅してそのまま入浴はしていない。

透析直後の入浴は血圧低下をもたらし、意識障害などを引き起こすおそれがあることは医師の指導などにより認識可能であったが、医師のこれらの指導説明に直ちに反するものとはいえない。

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