Ⅰ 契約者が破産した場合
契約者の地位は破産管財人が引き継ぐ。破産管財人は保険法60条、89条により、保険契約の解除ができる。
介入権の問題となり、親族など介入権のある受取人は、解除通知日までの解約返戻金相当額を解除権者に支払って保険契約を継続できる。
Ⅱ 受取人が破産した場合
保険事故が発生していない段階において、受取人について破産開始決定がなされた場合、保険事故発生前の抽象的保険金請求権は破産財団に帰属するか?それとも受取人に帰属するか?
保険契約は、破産手続開始前に生じた原因であり、破34条2項に基づいて将来の請求権として破産財団に属する。(最高裁h28年4月28日民集70-4-1099、東京高裁h24-9-12h24(ラ)1817引き渡し命令に対する抗告事件)
契約者の破産ではないから、管財人による契約の解除は問題とならない。破産法34条4項に基づき自由財産拡張の申立をすることになる。
III 契約者・受取人が同一人の場合
破産管財人は、破産法53条1項により契約の解除または履行の選択権がある。
管財人が履行を選択して破産財団から保険料を払いながら、将来何時発生するのか分からない保険事故の発生をいつまでも待つということは通常考えられない。
>だから破産管財人が契約を解除してきた場合を考えることにする。
契約者・受取人が保険契約を維持したい場合、契約を解除されないためには解約返戻金相当額を破産財団に組み入れて、破産法34条4項により自由財産拡張の裁判を申し立てる。
これにより保険契約は破産財団から離脱して自由財産となる。
問題点:誰が、解約返戻金相当額を支払うのか?
介入権者の資格について保険法60条2項により、保険契約者は介入権者になれない。 保険法60条2項にもとづき
□契約者の親族が支払う方法
□被保険者、その親族がしはらう方法