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遺留分減殺、特別受益の関係

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遺留分減殺、特別受益との関係

被相続人が保険契約者の場合、共同相続人又は共同相続人以外の者が生命保険金受取人として定められることにより、自己固有の権利として保険金を取得する。
取得原因は保険契約であり、相続により取得するものではない。
しかし権利取得の対価が無く、無償で取得することは共通である。この点で相続と共通するところがある。

(共同相続人の保険金に対する遺留分減殺事例)

共同相続人の一人が生命保険の受取人に指定されている場合、他の共同相続人は遺留分減殺請求ができるか?

最h10-3-24民集52-2-433は、土地の贈与に関して、共同相続人の一人が相続開始の8年前に贈与を受けた事例において、この贈与が遺留分権利者に損害を加えることを知らない贈与であっても受贈者に酷である特段の事情のない限り遺留分の算定に加える、と判断している。
この判断を保険金の受取人に当てはめてみると、共同相続人の一人が生命保険の受取人に指定されている場合、受取人に酷である特段の事情のない限り生命保険金は遺留分の算定に加えられるという判断に繋がる可能性はある。
(共同相続人以外の者に変更した事例)

亡A 保険契約者 被保険者

勤務先社団法人B団体定期保険   亡Aが保険料 

当初受取人は妻X1  AX1間に子X2,X3がいる。

受取人をAの父Yに変更:Yは推定相続人ではない。Yは共同相続人以外の者

問題点:無償で・対価なくして、権利を与える点において、贈与契約、遺贈(単独行為)と共通する。

だから遺留分減殺請求できるか?

最高裁h14-11-5 民集56-8-2069は、「1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく、これに準ずるものでもない。」と判断している。

(事例:相続分算定の基礎となる相続財産に含まれるか?)

保険金の取得原因は保険契約であり、相続により取得するものではないのであるが、共同相続人の一人が死亡保険金の受取人とされていてそれを受領している場合、この死亡保険金は相続財産に含まれないものか?

最高裁h16-10-29民集58-7-1979は、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が是認することができないほど著しい特段の事情が損する場合には・・・・特別受益に準じて持ち戻しの対象となる」と判断して、相続財産に含まれる場合もあることを認めている。ただし、この件については特段の事情があるとまではいえないとして、持ち戻しの対象とはしなかった。

(持ち戻しの対象となった生命保険金)

勤務先のグループ保険の被保険者が死亡した事案において、相続財産が800万円存在しており、死亡保険金が3500万円存在していた。この事案においては死亡保険金3500万円が持ち戻しの対象となった。
(勤務先からの死亡退職金はどうか?)

この件の死亡退職金は勤務先の退職金規定により、「死亡者と生計を共にしていた同居の親族に支給される」旨規定されていた。文字通り解釈すると、「生計を共にしていた同居の親族」に発生する性質のもので、死亡者に帰属してそれを相続により取得するものではないから、相続財産に属しないことになる。

相続財産が800万円存在しており、死亡退職金が2500万円存在していた事案において、死亡退職金の持ち戻しは認められなかった。

死亡退職金の持ち戻しが認められた判例を知っているお方はお知らせください。

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